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フルート（英語: flute）は、木管楽器の一種で、リードを使わないエアリード（無簧）楽器である。
一説によれば、唇から出る空気の束（エアビーム）を楽器の吹き込み口の縁に当てることでカルマン渦が発生し、これがエッジトーン（強風のときに電線が鳴るのと同じ現象）を生じて振動源になるという。しかし、エアビームの吹き込みによって、管の内圧変化が生じ、これがエアビームを揺動させて振動源になるとする説もある。
このようにして発生した振動に対して、管の内部にある空気の柱（気柱）が共振（共鳴）して音が発生する。
今日一般にフルートというと、銀色または金色の金属製の筒に複雑なキー装置を備えた横笛、つまりコンサート・フルートを指すが、古くは広く笛一般を指していた。特にJ.S.バッハなどバロック音楽の時代にあっては、単にフルートというと、現在一般にリコーダーと呼ばれる縦笛を指し、現在のフルートの直接の前身楽器である横笛は、「トラヴェルソ（横向きの）」という形容詞を付けて「フラウト・トラヴェルソ」と呼ばれていた。昔はもっぱら木で作られていたが、後に出現した金属製が現在では主流となっている。しかし、発音に唇の振動を用いないので、金属でできたフルートも木管楽器である。
フルート（モダン・フルート）は、同属楽器と区別する場合、グランド・フルートまたはコンサート・フルートとも呼ばれ、通常C管である。19世紀半ばに、ドイツ人フルート奏者で楽器製作者でもあったテオバルト・ベームにより音響学の理論に基づいて大幅に改良され、正確な半音階と大きな音量、精密な貴金属の管体、優美な外観を持つに至った。この改良によって生まれたフルートは、ワーグナーをして「その大砲をどけろ！」と言わしめたが、そのことばとは逆に、旧式のフルートを世界から駆逐してしまった。今日単にフルートと言った場合は、例外なく「ベーム式フルート」のことである。